第31回 情報科学若手の会報告
今年度,情報科学若手の会は, 1998 年 9 月 3 日(木)より 5 日(土) まで, 浜名湖三ヶ日簡易保険保養センターにおいて, 「21 世紀の新しい計算機」というテーマで, 4 名のパネリストに呼び水となる話題を提供して頂き, 自由な討論を行う形式で行われました.
情報科学若手の会を開催するにあたり, 慶応工学会から援助を頂きました. 若手の会の意義を理解し, ご協力くださり感謝致します. 有難うございました.
開催地が関東, 関西圏のどちらからも遠いにも関わらず, 情報系以外に認知科学を専攻している人, 文系学部だが情報科学に興味がある人など, 多彩な背景を持つ 20 名が全国から集まり, 計算機の現状と次世紀の予測について議論しました.
以下の 4 つのテーマとそれらのまとめという形式で, 5 つのセッションに別れて, 最終日を除く 2 日間にわたり, 議論が行われました.
以下に,タイムテーブルと議論の内容についてまとめます.
9/3(第1日目)
9/4(第2日目)
2-1. BOF #1 モバイルコンピューティングの現状と将来
現状の携帯型計算機がハードウェアで最も犠牲にしているのは操作性であり, 著しい性能向上により, すでにディスクトップと遜色無い性能を有している. ソフトウェア環境の見地から携帯型計算機を見ると, 携帯型計算機に特有の課題である電源管理, PC カードのサポートの他, ネットワーク接続やファイル同期機構などの課題もすでに解決されつつある. しかし, 現状において携帯型計算機は Web 閲覧と E-Mail 受信程度にしか 利用されておらず, 新しい使い方が模索されている.
携帯型計算機の新しい利用方法に関する議論に始まり, 計算機ならではの支援のある会議システム, 物理的に隣合う 2 台の携帯型計算機でも, 現状では簡単にファイルをコピーできずある種の``壁''があるという問題, プライバシーに関する問題にまで議論が及んだ.
2-2. BOF #2 ネットワークスーパーコンピューティングの現状と将来
ネットワーク性能の向上から異機種分散並列計算に対する要請が高まっており, 異機種分散並列計算を行うアプリケーションするための統合開発利用環境や 異機種分散並列計算のための通信ライブラリ等も開発されている. 今後, 異機種分散並列環境における効率的なスケジューリングに関する研究が必要である. こうした統合開発環境の位置づけがどうあるべきかに関する議論, 異機種分散並列環境におけるスケジューリングの方法に関する議論が行われた.
ハードディスクの容量は年々増えており, 価格も安くなっている. 過去の雑誌広告による調査によると, 21 世紀には, 1Tバイト,0.04 円/Mバイトになるという予測が成り立つ. こうした将来の大容量の外部記憶の用途やリームバブルなメディアに関する議論, 大量の情報の整理の仕方, ものを捨てられる人と捨てられない人との違いについて議論が行われた.
将来の入出力デバイスとユーザインターフェースに関連して, 音声入力の利点と欠点, 使う人に合わせて変化するユーザインターフェース等について議論が行われた. また文化や常識の違いにまで議論が及んだ.
まとめでは,21 世紀の計算機像について考察した. 利用者や用途に応じた分化が進むだろうという意見が出された. 例えば,一般向けにコミュニケータとしての計算機の家電化が進み, プロ向けは,カスタマイズやプログラミング可能な計算機が残るのではないか 等の意見が出された.
さまざまな分野から人が集まり, 思いもよらない意見を聞くことができました. また,懇親会の時に Mule 上で Manued を利用できる 新しい文書校正システムのデモンストレーションがあったなど, 非常に充実した会合になりました.
最後に,今年度の若手の会に参加して下さった方々の名簿を添付します (敬称略).
氏名 所属
筧 一彦 早稲田大学
倉本 到 大阪大学
川本 史生 早稲田大学
小出 洋 日本原子力研究所
坂本 巨樹 早稲田大学
鈴木 克明 東京女子大学
鈴木 健一 宮城工業高等専門学校
鈴木 晋吾 中京大学
鈴木 麗 奈良先端科学技術大学院大学
高岡 詠子 千歳科学技術大学
楯岡 孝道 電気通信大学
中村 嘉志 電気通信大学
平岡 慶子 東京女子大学
毛利 公一 立命館大学大学
山内 斉 電気通信大学
山口 実靖 東京大学
山口 文彦 慶應義塾大学
山本 真也 慶應義塾大学
矢農 正紀 早稲田大学
吉池 久夫 慶應義塾大学